Cursor レビュー:3ヶ月使い込んでわかった実力と限界
VS Codeフォークの AIエディタ Cursor を3ヶ月メインで使用。Composer・Agent・Tab補完の実力とVS Codeとの違いを正直にレビュー。
Cursor
Pros
- + Composer のマルチファイル編集が革命的
- + Tab 補完の「次の編集予測」が秀逸
- + モデル選択の自由度が高い(Claude / GPT-4o / Gemini)
- + Agent モードで自律的にタスクをこなせる
Cons
- - VS Code 拡張の一部が非互換(Remote SSH 等)
- - Pro $20/mo は Copilot の2倍
- - 大規模リポジトリでインデックスが遅い
- - Cursor 独自のキーバインドが VS Code と微妙に違う
TL;DR(結論)
- Cursor は「AI ファーストのコーディング体験」では現時点で最強
- Composer のマルチファイル編集と Agent モードが他ツールにない体験
- ただし VS Code との互換性問題と $20/mo の価格がネック
- VS Code ユーザーで AI をガッツリ使うなら移行する価値あり
3ヶ月使った環境
- プロジェクト: TypeScript + React + Node.js のWebアプリ(約200ファイル)
- プラン: Cursor Pro ($20/mo)(Pro+ $60/mo、Ultra $200/mo もあり)
- 以前のエディタ: VS Code + GitHub Copilot
- 使用モデル: Claude Sonnet 4.6(メイン)、GPT-4.1(サブ)
Tab 補完: 地味だが最も使う機能
毎日最も頻繁に使うのは Tab 補完。ここの品質がエディタの第一印象を決める。
Cursor の補完は GitHub Copilot と同等以上の精度がある。特に優れているのは「Next Edit Prediction」で、直前の変更パターンを学習して次の編集を予測してくれる。
例えば:
- 変数名
userIdをaccountIdにリネームすると、他の箇所でも同じリネームを Tab で提案 console.logを追加すると、次の関数にも同じデバッグログを提案- import 文を追加すると、対応する使用箇所のコードを提案
この「流れを読む」能力は Copilot より明確に優れている。一度体験すると、普通の補完には戻れない。
Composer: Cursor の最大の武器
Composer は Cursor のキラー機能。「この機能を追加して」と指示すると、複数ファイルにまたがる変更を一括で生成してくれる。
実例: API エンドポイントの追加
「ユーザーのプロフィール画像をアップロードする API エンドポイントを追加して」と Composer に指示した結果:
src/routes/upload.ts— 新規作成。multer でファイル受信、S3 にアップロードsrc/types/user.ts—avatarUrlフィールドを追加src/services/user.ts—updateAvatarメソッドを追加src/routes/index.ts— ルーティングに追加src/__tests__/upload.test.ts— テスト生成
5ファイルの変更が diff プレビュー付きで表示され、Accept/Reject を選ぶだけ。手動でやったら30分はかかる作業が2分で終わる。
Composer の限界
万能ではない。以下のケースでは精度が落ちる:
- 100ファイル以上の大規模変更: コンテキストの限界がある
- 既存のコードベースの慣習を無視する: CLAUDE.md 的なプロジェクト設定がないと、プロジェクトの慣習と違うコードを生成することがある
- デザインの変更: CSS の変更は提案してくれるが、ビジュアルの確認は自分でやる必要がある
Agent モード
Composer の進化版。AI が自律的にファイルを読み、コマンドを実行し、テストを走らせる。
「このテストが落ちているから直して」と指示すると:
- テストファイルを読む
- テスト対象の実装を読む
- 原因を特定して修正案を生成
- テストを実行して通ることを確認
この「自分で確認までやる」のが Agent モードの真価。ただし、ネットワークリクエストを伴うタスク(npm install 等)は承認を求めてくる。
Chat (@codebase)
@codebase でリポジトリ全体をインデックスした上で質問に答えてくれる。
「このプロジェクトの認証フローを説明して」と聞くと、関連するファイル(middleware、routes、services)を自動で見つけて、アーキテクチャ図付きで説明してくれる。
新しいプロジェクトにジョインしたときのオンボーディングが劇的に楽になる。
VS Code との違い: 正直な話
良い点
- AI 機能は全方位で VS Code + Copilot を上回る
- UI は VS Code とほぼ同じなので移行コストは低い
- 設定やキーバインドもほぼ引き継げる
困った点
- Remote SSH: VS Code の Remote SSH がそのまま動かないことがある。Dev Container は比較的安定
- 一部の拡張機能: VS Code Marketplace の拡張がインストールできるが、一部は動作しない
- アップデートのタイミング: VS Code のアップデートが Cursor に反映されるまでタイムラグがある
- Cursor 独自のキーバインド:
Cmd+K(インラインチャット)が VS Code のデフォルトと競合
実用上の問題
3ヶ月使った中で「Cursorのせいで仕事が止まった」ことは1回だけ(Remote SSH の接続問題)。それ以外は VS Code と遜色なく使えた。
料金について
$20/mo は GitHub Copilot ($10/mo) の2倍。これを高いと見るかどうか。
2026年に入って Pro+ ($60/mo) と Ultra ($200/mo) が追加された。Pro+ はバックグラウンドエージェントが使え、Agent の処理能力が約3倍。Ultra は最大容量。また、Cursor はクレジット制を導入し、プレミアムモデル(Claude, Gemini 等)の使用で追加クレジットが消費される点は注意。
個人的な計算:
- Composer で節約できる時間: 週2〜3時間
- 時給換算: 月にして $100〜200 相当の時間節約
- Pro $20/mo は十分ペイする。Pro+ は Agent ヘビーユーザー向け
チーム導入する場合、Teams プラン ($40/user/mo) は Copilot Business ($19/user/mo) の2倍以上。ここはマネージャーの判断次第。
誰に向いているか
おすすめする人
- VS Code をメインエディタとして使っている
- AI を「補完」だけでなく「コードを書かせる」ために使いたい
- マルチファイル編集を頻繁にする(フルスタック開発者に特に有効)
- 最新の AI モデルを柔軟に切り替えたい
おすすめしない人
- JetBrains や Neovim がメインエディタ
- Remote SSH を多用する(サーバー上で開発するスタイル)
- AI 補完はたまに使う程度で、$10/mo 以上は出したくない
- チーム全体で統一したいが予算が限られている
総評
Cursor は「AI コーディング体験」の新しい基準を作ったツールだと思う。Composer と Agent モードは他のどのツールにもない体験で、一度使い始めると VS Code + Copilot には戻りにくい。
ただし VS Code との互換性問題は無視できない。特に Remote SSH 周りは要注意。導入前に自分の開発環境で動作確認することを強くおすすめする。
$20/mo の価値があるかと聞かれたら、「AI をガッツリ使う開発者なら間違いなくある」と答える。
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